huge cooling towers in nuclear power plant

どうも、今日の電気新聞は以下です。2030年のエネルギーミックス(電源をどのような構成にしていくか)に向けて議論が開始しました。

2030年のエネ政策、総合エネ調が議論に着手

◆経団連など関係団体から聴取

 総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の基本政策分科会(分科会長=白石隆・熊本県立大学理事長)は24日、2030年に向けたエネルギー政策の議論を始めた。まずは経団連、日本商工会議所、連合、全国消費者団体連絡会など、関係団体へのヒアリングに着手。30年のエネルギーミックスを巡る原子力の位置付けなどで意見が割れた。委員からは、アンモニアや水素などの脱炭素燃料を加えた30年の非化石比率を示すべきとの意見が聞かれた。

https://www.denkishimbun.com/archives/109809

資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会において議論が開始され、ここに今回の資料が掲載されています。

次期エネルギー基本計画において以下についての意見、コメントを各団体(日本経済団体連合会、日本化学工業協会、日本商工会議所、日本労働組合総連合会、全国消費者団体連絡会)から聴取しています。

  • 2050 年カーボンニュートラルの実現にあたっては、どのような課題があり、どのように乗り越えていくべきか。
  • 2030 年に向けたエネルギー政策に求めることは何か。安全性を前提として安定供給・経済性・環境適合の達成をどのように考え、どのようなエネルギーミックスを目指すべきと考えるか。

詳細の議論内容は、Youtubeから見れますので、関心ある方はどうぞ。

この中で、電気新聞にも書いていますが、今後エネルギーミックスを考える中で「原子力」をどうするかについて議論が大きく分かれました。

今回の公開資料を引用して、「原子力」について各団体がどう考えているかをまとめてみました。

  • 「日本経済団体連合会」の原子力に関するコメント
    • 地元の理解を得た上で、安全性が確認された既設発電所の着実かつ迅速な再稼働や設備利用率の向上を着実に進め、引き続き、重要なベースロード電源として活用する必要
    • 2050年段階で然るべき水準を維持することを見据えれば、政策方針へのリプレース・新増設盛り込みが求められる
  • 「日本商工会議所」の原子力に関するコメント
    • 原子力発電の位置づけを明確に。2050年にカーボンニュートラルを本気で目指すのであれば、今から準備しないと間に合わない。
    • 期の再稼働および設備利用率の向上、さらにはリプレース・新増設が必要。また、政府が前面に立ち、核燃料サイクル、放射性廃棄物の処理を含め、原発政策を大きく前進させることを強く期待。
  • 「日本労働組合総連合会」の原子力に関するコメント
    • 中長期的に原子力エネルギーに対する依存度を低減し、最終的には原子力エネルギーに依存しない社会をめざすための政策を推進する。
    • 既存の原子力発電所については、安全性の強化・確認を国の責任で行うことと、周辺自治体を含めた地元住民の合意と国民の理解を得ることを前提に、代替エネルギー源が確保されるまでの間、活用していく
  • 「全国消費者団体連絡会」の原子力に関するコメント
    • 原子力発電は「2030年代の原発稼働ゼロ」に向けた工程計画を策定すべき
    • 新規設置・運転延長が広く受け入れられる状況にはない。背景として、福島第一原発事故後の処理、使用済核燃料処理問題、重大事故に備えた避難計画策定などの諸課題が進捗しておらず、国民の信頼を得られていない

原子力については大企業vs消費者団体といったところでしょうか。大企業を代表する日本経済団体連合会は、2050年のカーボンニュートラルに向けて、「新設」も含めて政策方針に盛り込めと、原子力めちゃ推しです。一方、消費者を代表する全国消費者団体連絡会は、2030年代に原発ゼロにしろと、原子力なんか早くなくせとの意見。

なお、前回のエネルギー基本計画では原子力に関する政府の方針は以下のとおり記載されています。

原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させる。ここその方針の下で、我が国の今後のエネルギー制約を踏まえ、安定供給、コスト低減、温暖化対策、安全確保のために必要な技術・人材の維持の観点から確保していく規模を見極めて策定した2030年のエネルギーミックスにおける電源構成比率の実現を目指し、必要な対応を着実に進める。

エネルギー基本計画(2018年7月)https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/180703.pdf

なお、当時エネルギー基本計画の原子力の電力量に占める割合は以下の20~22%とされています。これが次期エネルギー基本計画でどうなるか?これから議論されていきます。前回の基本計画からの特に大きな変化としては、わが国では2050年に「カーボンニュートラル」を目指すことが決まったことです。このカーボンニュートラルの目標のために、経団連が言っているように「原子力を新設含めて増やす」のか、それともほぼ「再生可能エネルギー」で目指すのか?ということが議論されるでしょう

2030年エネルギーミックス実現へ向けた対応についてhttps://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/025/pdf/025_008.pdf

なお、エネルギーミックスを決めるために、「シナリオ分析」をやるとしています。「シナリオ分析」は以前の記事でもお伝えしたとおり、政策を決めるための重要なツールではありますが、前提条件次第で、結果を意図的に操作することができます

政府の提案ではシナリオ分析は、以下のRITEのモデルを使用してみてはということで進んでいるようです。

このモデルの前提条件のうち、特に低炭素・脱炭素技術の「コスト」をどう想定するか、これが計算結果に大きな違いを生むことは間違いありません。2030年や2050年のコストのことです。このあたりの前提は結果を操作するためにいろいろと調整ができますので、しっかりと中立的な研究者の方が確認ししっかりと指摘していくことが必要です。もちろん原子力のコストをどう定義する(確率での事故補償費なども含めるべきである)かというところも検証しなくてはならないと思います。

RITEのエネルギー需給モデルの概要
https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/036/036_005.pdf

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