photo of light bulb

こんにちは!Scivanです。最近役に立たない記事が多いので、たまにはまじめに勉強を、ということで職業柄、電気新聞を取っているのですが、そこから気になった記事を踏まえ、関連する委員会や研究会の資料を含めてエネルギー業界のコンサルタントの視点からコメントやメモをしていきたいと思います。

エネ庁、省エネ法見直し視野に/電化・水素化の転換推進、需要側対策で議論

経済産業省・資源エネルギー庁は、2050年カーボンニュートラルに向けた需要側の対策について、具体的な検討を始めた。30年に向けた足元の取り組み強化も見据え、電化・水素化といったエネルギー転換促進や、太陽光の導入拡大を踏まえた需要側の最適化などが論点に浮上。その際、化石エネルギーの合理化を目的とする現行の省エネルギー法について、時代の変化に合わせた見直しも検討する。3月以降、主要産業部門、業務部門の業界団体などにヒアリングし検討を深める。

電気新聞2021/02/22 1面 https://www.denkishimbun.com/archives/109144

カーボンニュートラルとは温室効果ガスの二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするという目標です。日本では菅首相が先日2050年にカーボンニュートラルを目指すと宣言しました。米国のバイデン大統領の再生可能エネルギーへの重点政策も含め、世界は完全に脱炭素へ舵が切られます。

カーボンニュートラルには、3つのアプローチによって達成されます。

1つ目は使用するエネルギー量を少なくする「省エネ」。2つ目はエネルギーの単位あたりのCO2排出量を抑える「エネルギー源の脱炭素化」、3つはCO2排出量のマイナス効果のある取り組みを推進する「オフセット」です。

今回の記事は、カーボンニュートラルに向けた需要側の対策が第30回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会で議論されたというものです。メインの資料はここに掲載されています。

更なる省エネ推進に向けた需要側の対策

今回は、需要側の対策ということで、「省エネ」から議論がされています。以下の省エネルギー法の見直しが検討されるということです。

省エネルギー法

工場等の設置者、輸送事業者・荷主に対し、省エネ取組の目安となる判断基準(設備管理の基準やエネルギー消費効率改善の年1%改善目標等)を示すとともに、一定規模以上の事業者にはエネルギーの使用状況等を報告させ、取組が不十分な場合には指導・助言や合理化計画の作成指示等を行う

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/pdf/030_01_00.pdf

また、各部門(産業部門、民生部門、運輸部門)における更なる省エネ推進に向けた課題を踏まえ政策的な対応を行っていくようです。

更なる省エネに向けた課題

産業部門では、設備の高効率化の技術的限界や費用対効果の課題民生部門(業務・家庭)では住宅・建築物の断熱性能向上や機器の高効率化、デジタル化運輸部門では燃費性能の更なる向上や更なる物流効率化等が課題であり、現状を踏まえつつ、更なる対策の積上げについても検討すべきではないか。

https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/shoene_shinene/sho_energy/pdf/030_01_00.pdf

各部門における政策的な対応の方向性も本資料には以下のとおり示されています。

  • 産業部門における更なる省エネに向けた方向性
    • 省エネ機器の技術開発(高い機器コスト):省エネポテンシャルの高い技術の普及拡大に向けた技術開発や機器等の導入支援
    • 制度的措置の見直し(ベンチマーク制度の指標 見直しや対象拡大、省エネ法における執行強化)
  • 民生部門における更なる省エネに向けた方向性
    • 住宅・建築物のネットゼロエネルギー化進展:新たなZEH・ZEB等ゼロエネ住宅・建築物の創出及び規制活用
    • 建材・機器 の更なる性能向上と普及:高性能建材・設備の研究開発・実装や、コスト低減に向けた導入支援・制度見直し
    • デジタル化を通じた省エネ:技術開発や実証の支援・制度見直し(エネルギーマネジメント導入強化に向けた規格整備、アグリゲータ、配電事業など新ビジネス促進のための実証支援等)
  • 運輸部門における更なる省エネに向けた方向性
    • 燃費性能の更なる向上:燃費基準の遵守(製造事業者等への2030年の燃費基準の達成要求)
    • 輸送事業者・荷主の取組強化:省エネ法における荷主評価の在り方見直し、AI・IoT等を活用した物流全体の効率化

非化石エネルギー導入拡大に向けた需要側の取り組み

また「エネルギー源の脱炭素化」も需要側の取り組みが必要になります。具体的には非化石エネルギーの導入拡大に向けた方向性として今後以下の論点を検討していくべきと示しています。

  • 非化石エネルギーの導入拡大に向けた方向性
    • 電化・水素化等のエネルギー転換含む需要高度化
    • 再エネ活用のためのデジタル化等を通じた最適化:需要サイドの最適化、ダイナミックプライシングやデマンドレスポンスによる系統安定化
    • 需要の高度化に向けたレジリエンス強化:機器の自律制御システム導入拡大、自家発による調整力確保

各所に「デジタル、AI」がワードとしてでていますね。

「ダイナミックプライシング」は電力価格をその時の需要と供給に応じて、弾力的に変えるというものです。例えば、米国のカリフォルニア州では、一般家庭にも導入が進んでいます。

日本も既に卸電力価格に応じた電気料金プランを出している小売電気事業者もありますが、今後政府の後押しにより「ダイナミックプライシング」がより一般的なものになるかもしれません

レジリエンス強化の文脈で、自家発による調整力確保と記載されている点が気になりました。ガスコジェネレーションシステムが調整力に貢献した例を参考として入れており、今後「電化」ばかりだとガス会社が・・・(水素は長期的な取り組みだし)ということもあり、「ガスコジェネレーション」の支援強化なども打ち出されるかもしれませんね。

省エネルギー小委員会では今後上記方向性を踏まえ、具体的な内容が議論されていきます。気になる方はウォッチしておきましょう。

最後までお読みになった方、有難うございます。ここ(人気ブログランキング)を押して応援ください!

それでは!