「極力人との接触80%減らす」でも効果でない可能性

「人の接触を最低7割、極力8割減らせば」2週間後にはピークアウトの根拠

どうもScivanです。4月7日夜、安倍首相の緊急事態宣言発出の記者会見では、以下のような説明がありました。

「このペースで続けば2週間で1万人、1カ月後には8万人超になるおそれがある」と危機感を示した。一方で、「人の接触を最低7割、極力8割減らせば」2週間後にはピークアウトさせて「減少に転じさせ」、爆発的な急増を押さえ、クラスター封じ込めにも成功する

安倍首相が緊急事態宣言 7都府県で5月6日まで 新型ウイルス対策

この8割という数字ですが、どこから出てきたのか?この説明を厚生労働省のクラスター対策班のメンバーの西浦先生が解説しています。

上記動画のとおりですが、Ro(基本再生産数)を2.5とおいて、Re(実効再生産数)を1以下にするためのpを解いたということです。Roは1人の感染者が治癒するまでに感染させる平均的人数です。

Re= (1-p)R0 < 1 R0=2.5として p>0.6

すこしややこしいので、簡単に説明すると以下のとおりです。

1人の感染者が普通にしていると平均2.5人感染させるんだから、活動量を6割以上カットして4割未満にすれば、1人(2.5×0.4)未満の感染者を生み出すだけで済む。1人の感染者が生み出す感染者が1人未満なので、Δ感染者数※が減っていくということです。

※Δは累積感染者ではなく、ある期間(一日等)で増加した感染者数のことを指しています

6割削減では、1人につき1人生み出すのですので、Δ感染者数は均衡状況です。8割削減してようやく確たる減少に転じるということでしょう。

8割削減の前提は甘い

問題はこのR0=2.5という前提となる数値です。この前提はWHOが1月に見積もっている予備的なR0推定値1.4~2.5の最大値をとっているものと思います。

たたこのR0は予備的な推定値であり、分析が継続されています。米国のCDCによって4月7日に公表された再分析では、Roが3.8~8.9、中央値で5.7という推定結果となっています。

中国での基本再生産数Roの推定

接触機会8割低減しても減少に転じない可能性

もしRo=5.7であれば、先ほどの理論に基づくと、p>0.82、すなわち82%の接触機会の低減でΔ感染者数均衡、それ以上でないとΔ感染者数は減少に転じないということになります。

もし最悪のRo=8.9であれば、89%の接触機会の低減でもΔ感染者数均衡ということになります。

すなわち、このCDCの再分析のRoを前提にするのであれば、安倍首相のいう「人の接触を極力8割減らせば」でも感染者は残念ながら減少に転じず、それ以上の対応が必須になるということです。

このデータを踏まえると、8割低減なんか到底無理だといっている日本は、今後おそらくかなり厳しい局面を迎える可能性がありそうです。

リスク管理の常識は、徹底的に保守的に考えることです。有識者の分析で甘い結果が出ていますが、ほぼ10割にしろといっておくべきだったのかもしれません。